待ち望まれていたUKIPO vs Emotional Perception AI事件の英国控訴院の判決が、2024年7月19日に発表されました。キャロライン・デイがこの判決の初期分析を行っています。
その日がやってきた:UKIPO vs Emotional Perception AI Ltd.控訴事件に関する英国控訴院からの判決がここにあります。しかし、英国ではANN(人工ニューラルネットワーク)が本質的に特許可能という判決を期待していた方は、見ないほうがいいでしょう。
判決概要
ごく簡単に要約すると、コンピュータプログラム「それ自体」は、英国において特許適格性から除外されます。一方、ANNは従来型のコンピュータ実行プログラムではなく、全く異なるものであるという趣旨の主張がなされてきました。しかし、判決の第70項において、この主張はきっぱり否定されています[i]。
「…ANNの重み(ここでは重みとバイアスを意味する)はコンピュータのプログラムであり、ゆえに除外の範囲内である」
しかし、このようなコンピュータプログラムの除外に関しては、とりわけそのプログラムが技術的貢献をもたらす場合には、常に逃げ道があります。この技術的貢献こそ、多くの場合に審査対象の個々の発明に向けられる論点であり、本件ではユーザーにファイルを推奨する方法でした。これについては判決の第79項で述べられています。
「推奨ファイルを推奨に値するものにしているのは、その意味的特性である。これは感性的認識の問題である、または…主観的かつ認知的性質のものである。それらは技術的ではなく、特許対象となり得る技術的効果をもたらすシステムにもなっていない」
ANNは特別ではないと控訴院が判示
要するに、特許適格性に関して言えば、ANNは特別ではないというのが控訴院の判断です。第71項に要約されています。
「…ANN利用発明は、他のコンピュータ利用発明よりも立場が良いわけでも悪いわけでもない」
この分野の実務家にとって興味深いのは、判決全体にわたり、EPOアプローチの一般的傾向として、ANNその他のあらゆるコンピュータ利用発明の特許適格性に貢献できる一つの側面が技術的使用例であると実証されている点です。
では、今後は?
おそらくUKIPOは、ANNを特別扱いするよう審査官に指示している現在の実務指針を撤回すると思われます。また、本件の特許権者は最高法院に上告する許可を求めており、コンピュータ利用発明の文脈において何が技術的貢献とみなされるのか、TRIPS第27条(1)項が適切に考慮されたのかどうか、さらにこの判決がEPO実務から逸脱しているのかどうかといった争点を挙げています。
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